<ねじ締結>増締め運用の限界・材料力学の基礎③
2022.04.11
材料力学の基礎(応力ひずみ曲線)
金属の材料特性を調べる方法として、規定の形状とした試験片の両端に引張をかけて破断する迄の過程を調べる引張試験(★1引張試験)を用いる事が一般的になっています。
★1-1引張試験
★1-2引張試験過程での試験片の変化
試験機は試験片に一定の割合で引張りの力を与えてゆき、最後に破断するまで行う試験になります。しかしながら試験片の変形は一定ではありません。その試験の様子を可視化する方法として、応力・ひずみ曲線が用いられています。
★2応力ひずみ曲線
弾性域とはひずみ曲線の中で、作用する応力が少ない線形的な特性を持つ部分を言います。伸びきる前のゴムと似た性質を持ち、引張荷重を抜くと最初の状態に戻る事が出来ます。引張荷重をさらに加えて弾性の状態を保てなくなった状態、即ち応力-歪みの関係が非線形となった状態を塑性と呼び、この領域を塑性域と言います。金属製品をプレス機で成形する際、プレス後は製品が元の形状に戻らないのはこの塑性変形の特徴を活用したものということになります。ひずみ曲線にはヤング率、降伏強度、加工硬化等の特性値(★3・4ひずみ・応力)も盛り込まれており、機械製品の設計開発をする際の基本情報として扱われます。
- 応力(度):部材内に発生している単位面積あたりの力。具体的に言うと、1mm2あたりにかかる力です。単位面積あたりの内力を応力(度)と言う。単位面積当たりの力で、単位は「N/mm^2」や「N/m^2」となります。機械系では、この応力度の事を単に応力としている事が多いです。
応力σ = P/A
応力(応力度) = 内力/断面積
応力(応力度)は断面積と内力で決まります。
★3 応力の説明図
- ひずみ:ひずみとは、部材が伸びたときの比率のことを指します。(下図丸棒)丸棒の元の長さを L とします。そして、丸棒を引っ張ったときに伸びた量を、λ(ラムダ)とします。ひずみは、元の長さに対する変形量なので、次の式で表されます。
ひずみε = λ/L (変形量/元の長さ)
(ひずみはεという記号を使い、ε イプシロンと読みます。)
★3 ひずみの説明図
- 降伏応力:降伏応力とは、材料の塑性が開始する応力のことを指します。これ以上の応力が発生すると、除荷しても元の形状に戻らず永久ひずみが残ります。この時の応力を降伏点と言います。引張試験において、降伏点そのときの応力を降伏強さ(降伏応力)と呼ばれます。
- 引張強さ:これは弾性変形→塑性変形→破壊→破断という過程において、材料が耐えうる最大の応力であり、破断直前である場合もあれば、損傷の途中である場合もあります。
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