コラム

<次世代メンテナンス④>社会インフラの保全業務の高度化

2021.12.20

これまでのコラム「<次世代メンテナンス①>3つの保全方式」「<次世代メンテナンス②>CBMを実現する6つのステップ」「<次世代メンテナンス③>保全・故障に関連する用語の整理」では、次世代メンテナンスについての、一般的な内容に関して理解を深めて参りました。今回のコラムでは、次世代メンテナンスの適用先の一つとなる、日本の社会インフラが抱える課題と現況を説明します。

 

日本が抱える課題

日本の人口は2060年代には8千万人台にまで減少すると言われており、2021年の1.25億人の内、30%以上が減少する見込みです。一方で高度経済成長期に急速に整備された社会インフラの老朽化はますます深刻化し、今後30年間で日本が社会インフラのために必要とする費用は192兆円にもおよぶと言われております。このままでは老朽化する社会インフラの保全を担う人材が不足する事は自明であり、具体的な策を講じる必要があります。

 

橋梁における課題

日本全国で約72万橋のうち、92%にあたる66万橋は地方公共団体が管理する橋梁です。2019年時点で建設後50年を経過した橋長2m以上の橋梁の割合は約27%、10年後の2029年時点では約52%に急増します。建設後50年を経過し橋長15m未満の橋梁の割合は、10年後に約59%となります。全国の橋梁の近接目視による点検は2巡目に入っておりますが、1巡目の点検で健全性診断がⅢ及びⅣ(*下表ご参照)と判定された橋梁のうち、修繕に着手した橋梁は国土交通省は53%、地方公共団体では20%にすぎません。特に地方公共団体での維持管理費用や技術者の不足が深刻な問題であることが明らかになりました。

 

区分 定義
健全 道路橋の機能に支障が生じていない状態。
予防保全段階 道路橋の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態。
早期措置段階 道路橋の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態。
緊急措置段階 道路橋の機能に支障が生じている、又は生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態。

 

橋梁における保全業務の高度化の現状

 

社会インフラ施設の老朽化に対応する維持管理費用の確保、技術者不足を背景に国土交通省は、橋梁点検の分野にもロボット技術を点検支援技術として活用していくことを目指し、2014年から点検支援技術の一般公募を行い2018年にかけてロボット等の運動性能やカメラ等の計測性能の検証を行ってきました。2018年12月の社会資本整備審議会の提言を受けて、2019年2月の定期点要領の見直しに合わせて、参考資料として、「新技術利用のガイドライン(案)」「点検支援業務 性能カタログ」を公表しました。

 

表1.橋梁等のカタログ掲載技術

変状の種類 点検支援技術

近接

点検支援技術

その他

コンクリート ひびわれ 7
床版ひびわれ 7
その他 4(うき) 1(うき)
腐食
亀裂
破断
その他

 

表2.画像計測技術の構成

技術名 移動原理 開発者
構造物点検ロボットシステム「SPIDER」 飛行型 ルーチェサーチ株式会社株式会社、株式会社建設技術研究所
非GPS環境対応ドローンを用いた近接目視点検支援技術 飛行型 三信建材工業株式会社、株式会社自律制御システム研究所
マルチコプターによる近接撮影と異常箇所の2次元計測 飛行型 夢想科学株式会社
マルチコプタを利用した橋梁点検システム(マルコTM 飛行型 川田テクノロジーズ株式会社、大日本コンサルタント株式会社
「橋梁点検カメラシステム視る・診る」による近接目視、打音調査等援助・補完技術 アーム型 ジビル調査設計株式会社、有限会社インテス
橋梁等構造物の点検ロボットカメラ ボール型、懸架型 三井住友建設株式会社、株式会社日立産業制御ソリューションズ
橋梁下面の近接目視支援用簡易装置「診れるんです」 懸架型 東北工業大学、O・T・テクノリサーチ株式会社

 

表3.非破壊検査技術の構成

技術名 移動原理 開発者
赤外線調査トータルサポートシステム Jシステム その他 日本電気株式会社、一般財団法人首都高速技術センター
ポール打検器 ボール型 ジビル調査設計株式会社、有限会社インテンス、福井大学
橋梁点検支援ロボット 懸垂式 ジビル調査設計株式会社、有限会社インテンス、福井大学
近接目視・打音検査等を用いた飛行ロボットによる点検システム 飛行型、接触型 新日本非破壊検査株式会社、業共同開発大学 者北:名古屋九州工業大学、高等専門九州工学
コンクリート構造物変形部検知システム「BLUE DOCTOR」 アーム型 株式会社オンガエンジニアリング

 

smartNejiのご紹介

道脇裕が発明したsmartNejiは、予知保全の適用を推進する技術です。smartNejiは物体にかかる応力を直接検知することが可能です。smartNejiは既存のセンサー技術を革新的に飛躍させるもので、「次世代メンテナンス」を実現します。

 

smartNejiについては、特設HPで詳しく説明しておりますので、ぜひリンク先をご覧ください。

smartNeji (nejimo.co.jp)

資料ダウンロード

パンフレットやその他情報を無料でご用意しております。
貴社の課題解決にお役立てください。

お役立ち資料一覧

技術課題の解決方法を提案し、
量産化までご支援いたします。

下記フォームよりお問い合わせください。

は必須項目です

貴社名
部署名
お名前
メールアドレス
電話番号
お問い合わせ内容

<最先端技術> 半導体製造装置を取り巻く現状と今後 <技術解説> 半導体を生み出す成膜装置とは?

関連記事

お問い合わせ

技術課題の解決方法を提案し、量産化までご支援いたします。

お電話でのお問い合わせ03-6777-2410

製品紹介やお役立ち資料を
無料でご活用いただけます

お役立ち資料
トップ
 > 
コラム
 > 
オープンイノベーションとは?事例をもとに紹介