<次世代メンテナンス③>保全・故障に関連する用語の整理
2021.12.07
前々回のコラム「<次世代メンテナンス①>3つの保全方式」では設備・インフラにおける3つの保全方式について解説し、前回のコラム「<次世代メンテナンス②>CBMを実現する6つのステップ」では、予知保全の主な手法であるCBM(Condition Based Maintenance)についてより深堀して説明いたしました。これまでのコラムでは専門的な用語が多く、保全活動に携わらない方にとっては、理解に難しい内容でしたので、今回のコラムでは、少し立ち戻って、保全・故障に関連する用語についてJISの定義に従って整理された表を紹介致します。
■保全に関連する用語
No | 用語 | 定義 |
JIS Z8115 | ||
1 | 保全、保守 | アイテムを使用及び運用可能状態に維持し、又は故障、欠点等を回復するためのすべての処置及び活動 |
2 | 保全理念 | 保全の組織及び実施に対する基本的な考え方 |
3 | 保全方針 | 故障アイテムの保全のために適用される保全水準、保全実施単位、及び保全場所とそれらの相互関係を記述したもの |
4 | 保全場所 | アイテムに対する規程の保全水準のお膳を実行する組織上の場所 |
5 | 保全実施単位 | 保全活動の観点からのアイテムの区分水準 |
6 | 保全水準 | 規定の保全実施単位の下で遂行される保全作業の程度 |
7 | 予防保全 | アイテムの使用中の故障の発生を未然に防止するために、規定の間隔又は基準に従って遂行し、アイテムの機能劣化又は故障の確立を低減するために行う保全 |
8 | 事後保全 | フォルト発見後、アイテムを要求機能遂行状態に修復させるために行われる保全 |
9 | 定期保全 | 予定の時間間隔で行う予防保全 |
10 | 経時保全 | アイテムが予定の累積動作時間に達したとき、行う予防保全 |
11 | 状態監視保全 | 状態監視に基づく予防保全 |
JIS Z8141 | ||
1 | 改良保全 | 故障が起こりにくい設備への改善、又は性能向上を目的とした保全活動 |
2 | 保全予防 | 設備、系、ユニット、アッセンブリ、部品などについて、計画・設計段階から過去の保全実績又は情報を用いて不良や故障に関する事項を予知・予測し、これらを排除するための対策を織り込む活動 |
※研究論文「保全活動の体系的推進に関する考察」小澤英之、山崎友彰、志田敬介より引用
■故障に関連する用語
No | 用語 | 定義 |
1 | 故障モード | 故障状態の形式による分類。例えば、断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化など |
2 | 故障メカニズム | 故障発生に至った、物理的、化学的、その他の過程 |
3 | 故障原因 | 故障の発生に至った、設計、製造又は、使用中の条件 |
4 | 初期故障 | 使用開始後の比較的早い時期に、設計・製造上の欠点、使用環境の不適合などによって起こる故障 |
5 | 偶発故障 | 初期故障機関後で、摩耗故障機関に至る以前の時期に、偶発的に起こる故障 |
6 | 摩耗故障 | アイテム固有のプロセスの結果として、時間の経過に伴って発生確率が増加うる故障。疲労・摩耗・劣化現象などによって時間とともに故障率が大きくなる期間の故障 |
7 | 突発性故障 | 事前の試験(調査)又は監視によって予見できない故障 |
8 | 経時変化故障 | アイテムの、与えられた特性が時間とともに徐々に変化することによって発生する故障 |
9 | 劣化故障 | 経時変化故障で、かつ、部分的故障 |
10 | 部分的故障 | アイテムの要求機能の一部を遂行不能にする故障 |
11 | 全機能喪失故障 | アイテムのすべての要求機能の遂行を完全に不能にする故障 |
12 | 致命的故障 | 人身に傷害を与えたり、資財に重大な損傷を与え、又はその他の容認できない結果に至ると評価される故障 |
13 | 非致命的故障 | 人身に傷害を与えたり、資財に重大な損傷を与え、又はその他の容認できない結果に至ることがないと評価される故障 |
14 | 弱点故障 | アイテムが規定の能力いないのストレスにさらされたとき、アイテム自身の弱点によって発生する故障 |
15 | 設計故障 | アイテムの不適切な設計によって発生する故障 |
16 | 製造故障 | アイテムの設計又は規定の製造プロセスに対する製造中の不適合による故障 |
※研究論文「保全活動の体系的推進に関する考察」小澤英之、山崎友彰、志田敬介より引用
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