<継手>軽量・高耐力の新型シールドトンネルセグメント継手
2021.08.31
1955年からの10年間、いわゆる高度経済成長に伴い、大都市でのインフラ整備が急増しました。大都市でのインフラ整備は、鉄道、上下水道、電力、通信などのライフラインの整備が中心でした。これらの建設用地は、主に道路下の地下空間に求められることが多く、そのための建設工事としては、「開削工法」によるトンネルの構築がほとんどでした。
しかし、開削工法によるトンネルの建設は、多くの工程と工期を必要とし、工事期間中の交通渋滞や近隣住民への騒音・振動などの建設公害を引き起こすことになり、大きな社会問題となりました。
このような問題を解決するために、それまでの都市におけるトンネル工事の主流であった開削工法が一気に「シールド工法」に置き換わることとなり、この工法の変更は国の施策としても大きく取り上げられました。この工法は工事による地上の交通混乱を最少にでき、工事の安全性が高いことから、今やトンネル建設には不可欠な工法となりました。
このシールド工法とは、掘削する地盤の崩壊や流動を防ぐために、トンネルの外径より少し大きい径の円筒を地下数mから数十mに入れて、土砂の崩壊を防ぎながら掘進や覆工を行うトンネル工法です。
こちらの図はシールド工法で利用されるセグメントになります。
シールド工法によるトンネル建設工事において、全体の工期を伸ばしている要因はシールドの掘進にかかる時間とセグメントの組立・取付に要する時間だといわれています。これら作業は何百,何千回という繰り返し作業となります。そのため、その他の作業は掘進やセグメントの組立と平行で行われるか、その前後で行われています。
トンネル工事の工期を短縮したり、施工効率を上げるためにはこの二つの作業が特に重要な要素となっています。しかし、1960年代にシールド工法が本格的に行われるようになって以来、現在まで施工効率はほとんど変化はありませんでした。
その原因はセグメントの組立作業に最も関係する継手構造が変化しなかったことによると考えられています。従来より、ボルト締結式の継手構造が利用されてきましたが、組立時間が長いことから、より簡便な方法が検討されるようになりました。
それは、現在利用されている「フック継手」や「リング継手」と呼ばれる方法です。これらは「ワンパス方式」とも呼ばれ、単純な構造によって作られています。軸方向へ移動するだけで施工が完了するため、省力化・高速施工可能となり、多くの現場で活用されるようになりました。
しかし、高速施工の可能な「ワンパス方式」でも、セグメント構築の際に位置誤差や姿勢誤差が生じた場合、前後や両隣のセグメントと円滑な連結が出来ず、組立が困難になるという課題がありました。
現在の方法では、現場にて一度連結した状態でコンクリートを打設し、分離してからセグメント毎に取り付けています。この方法では、現場施工にかかる時間が冗長になるだけでなく、コンクリートが引張等によって歪むことから、結果として誤差が小さくならないという欠点を抱えています。
この難題を株式会社NejiMOの代表である道脇 裕は、従来にない全く新しい方法によって解決しました。
こちらは道脇が考案した、ワンパス方式をさらに合理化したシールドセグメント用継手で、セグメントを軸方向に締結する「JicLoc」と周方向に締結する「ShuLoc」になります。
「JicLoc」には次のような特徴があります。
- 超低荷重挿入が可能であること。
→挿入にかかる力はわずか1kNと非常に小さく、組立作業の効率化につながります。 - 高荷重引張強度
→引張荷重が794kNと従来品を大きく凌駕しています。 - 位置誤差,姿勢誤差を吸収できる誤差吸収機能
→セグメント組立工程における、誤差を継手が吸収することによって、組立性が向上し全体の工期が短縮できるようになります。
「ShuLoc」にも独自の特徴があります。
- 雌雄一体構造
→製造部品数を少なくする事が出来ます。 - 鍛造技術によって製作可能
→鋳造品よりも美しく高い精度で製作できるため、嵌合性が高くなります。 - 高強度
→セグメント埋込載荷重試験にて最大荷重1000kNを達成。
この継手は長年課題であった位置誤差による組立作業の煩雑さを解消しただけでなく、従来製品と比較して、合理化による大幅な軽量化を達成しました。
このように、株式会社NejiMOは長年の技術課題をその創発力によって解決し、さらに新たな付加価値を創出することで、お客様へ他社にはない新たな技術と価値を提供致します。
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