コラム

<最先端技術> 半導体製造装置を取り巻く現状と今後

2021.12.13

半導体製造装置の位置づけ

半導体産業は設備産業や装置産業などと言われ、先端産業の一端を担っています。本コラムでは、半導体産業の市場規模から日本の現状、今後の展望などについてご紹介します。

 

半導体産業の規模

半導体産業は原材料から製造装置、あるいは最終製品まで裾野の広い業界を形成してしております。

この半導体産業の世界市場規模はWSTS(世界半導体市場統計)の発表を参考にすると、約40億円といわれており、さらに下流側のエレクトロニクス産業では、その10倍以上の規模となっております。日本の半導体シェアは1980年代には全世界の約50%以上を占めていましたが、現在は台湾・韓国・中国などの勢いに押され、20%にも満たない状況です。

 

日本の半導体装置メーカの現状

半導体がまだこれからという頃、参入メーカは世界的な総合電機メーカが主でした。日本では東芝や日立のほか、三井や住友などもありました。海外では、GE(General Electric Company)やSiemensなどが行っておりました。

この頃は、原材料から製造装置、半導体製品まで自社内で開発する傾向が強く、これは日本の強みでもあります。しかし、時代の流れによって強みは弱みに変化していきました。上流側から下流側まで自社内で行うことにより、国内にファンドリー(生産を受託する)やファブレス(生産を委託する)企業が育つ土壌が形成されておらず、各工程に特化する企業が海外で成熟してきたため、日本企業はどの工程においても市場シェアを保持することが困難になっていきました。昨今はリソグラフィー工程をはじめ、海外企業が強く巨大化・寡占化が進んでいます。また、製造装置メーカは単に装置を納入するだけでなく、プロセスやアフターサービスの充実までの「トータルソリューション」を求める時代になっております。

 

2021年の世界的半導体不足

世界的に深刻化する半導体不足。どうしてこのような供給不足に陥ったのでしょうか?

供給不足の主な要因は以下の3点といわれています。

  • リモートワークや巣ごもり時間の増加に伴う電子機器の需要増加
  • 注文抑制からの急回復
  • 米中貿易摩擦による半導体の調達制限

 

1つ目の理由は、新型コロナウィルス感染症の流行の影響によって、リモートワークや巣ごもり時間が増加したことによる電子機器需要の急激な増加です。しかし同時に、感染症対策のために多くの工場が閉鎖されたため、チップの製造が遅れ十分な量を供給できませんでした。これがサプライチェーンの歪みを発生させたと考えられています。

 

2つ目の理由も、新型コロナウィルス感染症の影響が大きいといわれています。各メーカは半導体の注文・生産の抑制を行いましたが、半導体市場は急回復したため、各業界で半導体の奪い合いともいえる状況が発生しました。これにより、自動車産業を中心とする製造業全体に大きなダメージを与えることとなりました。

 

3つ目の理由として、米中貿易摩擦が関係しています。現在の半導体シェアは50.8%をアメリカが占めており、中国を含む世界中への供給を担っています。一方、ハイテク産業の成長を加速させている中国は世界でも有数の技術を持っていますが、半導体は依然としてアメリカからの輸入に頼っています。トランプ前政権の際に、中国への技術の流出を防ぐため、ファーウェイなど多くの中国企業に対して半導体の輸出を停止する措置を実施しました。この方針は、現在のバイデン政権においても継続されており、アメリカと関係のある国を巻き込んで輸出管理・制限を行っているため、日本でも供給不足に陥ったことが指摘されています。

 

半導体の今後

2021年の半導体不足は2022年中に解消すると見られています。また、IoT/AIの普及や「走る半導体」といわれる自動運転によって、半導体需要はさらに大きな市場となると予測されています。

 

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